不動産を買うだけで経営管理ビザは取れる?資本金・事業計画の実務ポイント
不動産を購入したり法人を設立したりするだけで、日本の「経営・管理」在留資格(いわゆる経営管理ビザ)が自動的に取れるわけではありません。制度上求められているのは、事業としての実態と継続性です。まずは何が審査で見られているのかを押さえておくことが、遠回りに見えて一番の近道になります。
時事通信の報道によれば、2026年上半期(1〜6月)の訪日外国人数は前年同期比2.0%減の2108万4800人となり、5年ぶりのマイナスに転じました。うち訪日中国人は56.4%減の205万8200人にとどまり、中国政府が2025年11月14日から自国民に日本渡航の自粛を呼びかけていることが背景とされています(単一来源の数値のため、今後の統計更新で見直される可能性があります)。こうした渡航環境の変化のなかでも、「日本で不動産投資をしながら拠点を持ちたい」という相談は途切れておらず、その入口でよく聞かれるのが、経営管理ビザは物件を買うだけで取得できるのか、という質問です。
経営管理ビザとはそもそも何を指す在留資格?
経営管理ビザは、日本国内で事業の経営を行う、または当該事業の管理に従事する活動を対象とした在留資格です。会社の代表者として経営に携わる場合だけでなく、部長・工場長など管理業務に従事する立場でも対象になり得るとされています。
「投資ビザ」と呼ばれることもありますが、単にお金を出資しているだけでは対象にならず、実際に経営や管理の活動を行っていることが前提とされています。
資本金500万円というボーダーラインの意味は?
経営・管理の在留資格の基準の一つとして、事業所の確保に加えて、事業の規模が「常勤の職員2名以上」または「資本金の額もしくは出資の総額が500万円以上」のいずれかを満たすことが一般に求められるとされています。500万円という金額はしばしば独り歩きしますが、あくまで基準の一つであり、これを満たせば自動的に許可されるわけではありません。
実務上よく参照される数字の目安
- 資本金・出資総額の基準の一つ
- 500万円
- 常勤職員数の代替基準
- 2名
- 在留期間の上限区分の一つ
- 5年
- 事務所実態確認の実地調査
- 1回〜
常勤職員2名以上を満たす場合は別基準
資本金500万円未満でもこちらを満たせば可とされる
実際の付与期間は個別審査による
行われる場合とされない場合がある
不動産投資だけで「事業」として認められる?
区分マンションを1〜2戸購入し、賃貸に出しているだけの状態では、事業としての規模や実態が乏しいと判断されることが一般的です。審査では、物件の取得だけでなく、入居者管理・修繕対応・収支管理などの業務体制が整っているかどうかも確認されるとされています。
不動産賃貸業を経営・管理ビザの事業内容とする場合、一定戸数以上の保有や、管理業務の実態を示す資料の準備が実務上重要になるとされています。
根拠となる法令・基準
- 出入国管理及び難民認定法 別表第一の二「経営・管理」の項
- 日本国内で事業の経営を行い、又は当該事業の管理に従事する活動を行おうとする者に対する在留資格として位置づけられています。
- 出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令(経営・管理の項)
- 事業を営むための事業所が本邦に存在すること、事業の規模が常勤の職員2名以上又は資本金の額若しくは出資の総額が500万円以上であることなどが基準の一つとして定められているとされています。
事業計画書ではどんな点が見られている?
事業計画書には、事業の内容、収支の見通し、資金計画、事務所の概要などを具体的に記載します。数字の根拠が乏しい楽観的な計画は、事業の継続性に疑問を持たれやすいとされています。
特に不動産賃貸業の場合、想定賃料・想定稼働率・修繕費用などの前提を、実勢に近い水準で置いているかが確認されるポイントの一つです。
申請から許可までどのくらいの期間がかかる?
会社設立の準備から在留資格認定証明書交付申請、査証申請を経て来日するまで、一般的に数ヶ月単位の期間がかかるとされています。地方出入国在留管理局による審査状況によって前後するため、余裕を持ったスケジュールを組むことが実務上重要です。
設立から在留資格取得までの大まかな流れ(目安)
| 段階 | 目安期間 | 主な作業 |
|---|---|---|
| 会社設立準備 | 1〜2ヶ月 | 定款作成・資本金の払込み・法人登記 |
| 在留資格認定証明書交付申請 | 1〜3ヶ月 | 出入国在留管理局への申請・審査待ち |
| 査証申請・来日 | 2〜4週間 | 在外公館でのビザ発給・入国手続き |
| 在留資格の更新(初回) | 来日から約1年後 | 事業実績を踏まえた更新審査 |
よくある漏れと対策
✕バーチャルオフィスのみで事業所を確保したとして申請し、実態がないと判断された。
→実際に執務できる専用スペースを確保し、賃貸借契約書や写真を提出資料として準備する。
✕事業計画書の収支予測が楽観的すぎて、事業の継続性に疑問を持たれた。
→市場調査や近隣の賃料相場など根拠のあるデータを添え、保守的なシナリオも併記する。
✕資本金の送金経路が不透明で、出所の説明を求められた。
→送金前に資金の出所を書面で整理し、必要に応じて贈与契約書や送金記録を用意する。
✕区分マンション1〜2戸を保有しているだけで「事業」と主張し、管理体制の説明ができなかった。
→入居者対応・修繕・収支管理などの業務体制を具体的に計画し、資料としてまとめておく。
申請前チェックリスト
- 事業所として使用できる専用スペースを確保した
- 定款・法人登記の準備を進めた
- 資本金の送金経路と出所を整理した
- 事業計画書に収支予測の根拠となるデータを添えた
- 常勤職員2名体制か、資本金500万円以上のいずれかを満たす見込みが立った
- 行政書士など専門家に事前相談した
- 在留資格認定証明書交付申請に必要な書類一覧を確認した
よくある質問
- Q. 不動産を買うだけで経営管理ビザは取れますか?
- A. 単に物件を購入・保有するだけでは、事業としての実態が乏しいと判断されることが一般的です。管理・運用の体制を整えることが求められます。
- Q. 資本金500万円は必ず必要ですか?
- A. 一般的な基準の一つですが、常勤職員を2名以上雇用するなど、別の要件を満たす方法もあるとされています。
- Q. 一人で経営と実務を両方担ってもよいですか?
- A. 制度上は可能とされていますが、事業の規模や実態について、より丁寧な説明を求められることがあります。
- Q. 許可までどのくらいかかりますか?
- A. 会社設立から在留資格の許可まで、一般的に数ヶ月単位の期間がかかるとされ、余裕を持ったスケジュールが必要です。
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