永住がなくても家は買える?在留資格別に見る購入とローンの現実
出入国在留管理庁は8月4日、永住許可の指針改定案を公表しました。新しい案では、収入が日本人世帯の平均を継続的に上回ることや、将来受け取る年金額が厚生年金に30年加入した水準に達していることなどが要件に盛り込まれ、意見公募は9月4日午前0時まで、10月に正式決定される予定です。収入要件は今年4月以降に提出された申請から適用される方針と報じられています。
この報道を見て、「永住が取りにくくなるなら、日本での不動産購入も難しくなるのでは」と不安に思う方もいるかもしれません。結論から言うと、日本の不動産購入そのものに永住資格は必要ありません。ただし、住宅ローンの組みやすさは在留資格によって大きく変わります。本記事では、購入とローンの実務を在留資格別に整理します。
購入そのものに永住資格は必要?
日本の民法は、所有権の内容を国籍や在留資格で区別していません。短期滞在ビザや就労ビザの段階でも、外国籍のまま物件を購入し、自分名義で登記することは制度上可能です。永住や日本国籍の取得は、購入の法的な前提条件ではありません。
住宅ローンの審査は永住者とそれ以外でどう違う?
一方で、現金一括ではなくローンを使う場合、話は変わります。多くの金融機関は永住者・日本人配偶者等・特別永住者を対象にローン商品を用意しており、それ以外の在留資格では取扱いを制限したり、頭金の比率を高めに求めたりする傾向があります。
背景にあるのは、在留期間中に更新が途切れるリスクや、帰国時の債権回収の難しさです。永住者であれば在留期間の定めがないため、金融機関にとって長期の貸付リスクを見積もりやすくなります。
在留資格による住宅ローンの傾向(目安)
- 永住者・配偶者ビザの頭金目安
- 10〜20%
- 非永住・就労ビザ等の頭金目安
- 30〜50%
- 永住者の最長ローン年数目安
- 35年
- 非永住者の最長ローン年数目安
- 20〜25年
金融機関・物件により異なる
取扱いのない金融機関も
年齢・年収による
金融機関により差が大きい
永住の要件が厳しくなると、購入のタイミングをどう考える?
冒頭で紹介した指針改定案が10月に予定通り決定されれば、永住を申請する人にとって収入・年金・日本語能力などの要件が明確化されます。報道によれば、収入要件は今年4月以降に提出された申請から適用される方針とされています。
「永住が取りにくくなるなら、資格が変わる前に急いで物件を決めるべきか」という問いには、一律の答えはありません。ローンの組みやすさは在留資格に左右されますが、購入自体は永住がなくても可能なため、焦って判断するよりも、自分の在留資格でどの金融機関がどんな条件を提示しているかを個別に確認することが実務的です。
非永住者が購入時に追加で準備するものは?
非永住者が住宅ローンを利用する場合、収入証明や納税証明に加えて、在留カードの在留期間、勤務先の在籍証明、本国での資産状況の説明などを求められることがあります。海外送金で頭金を用意する場合は、送金目的を確認できる書類もあわせて準備しておくと審査がスムーズです。
永住者と非永住者で比較しておきたい点
| 確認項目 | 永住者・配偶者ビザ等 | 非永住・就労ビザ等 |
|---|---|---|
| 取扱い金融機関の数 | 比較的多い | 限られる場合がある |
| 頭金の目安 | 10〜20%程度 | 30〜50%程度が目安 |
| 審査で見られる点 | 年収・信用情報が中心 | 在留期間・帰国リスクも考慮されやすい |
| 購入自体の可否 | 可能 | 可能(ローン以外は現金購入も選択肢) |
確認しておきたい法令
- 民法 第206条
- 所有者は法令の制限内で自由にその所有物を使用・収益・処分できるとされ、国籍や在留資格による特別な制限は原則として設けられていません。
- 不動産登記法 第3条
- 所有権など登記できる権利の種類を定めており、外国籍や海外居住であっても本人名義での所有権登記自体は制度上妨げられません。
- 出入国管理及び難民認定法 第22条
- 永住許可の要件を定める条文で、法務大臣の許可により永住者としての在留資格を取得できるとされています。今回報じられた指針改定案は、この運用基準の見直しにあたります。
よくある漏れと対策
✕『いずれ永住を取るから』とローン審査前提で資金計画を組み、直前の在留資格変更で頭金が足りなくなった。
→申込み時点の在留資格を前提に頭金・借入可能額を試算し、変更が確定してから条件を見直す。
✕永住者向けの好条件をそのまま非永住の自分に当てはめて資金計画を立て、実際の頭金要求額に届かなかった。
→在留資格別の頭金・年数の目安を複数の金融機関に確認してから物件探しを始める。
✕海外からの送金だけで頭金を用意し、資金の出所を説明する書類を準備していなかったため審査が長引いた。
→送金目的・原資を示す書類を早い段階で用意し、金融機関に事前相談する。
非永住者が購入前に確認したいチェックリスト
- 自分の在留資格でローンを取り扱う金融機関を複数確認した
- 頭金の目安(在留資格別)を金融機関に個別確認した
- 在留カードの在留期間とローン審査のタイミングを照らし合わせた
- 海外送金で頭金を用意する場合、送金目的を示す書類を準備した
- 永住取得の見込みだけに頼らない資金計画になっているか確認した
- 現金購入という選択肢も含めて比較検討した
よくある質問
- Q. 永住がないと日本の不動産は買えませんか?
- A. 購入自体に永住資格は必要ありません。ただし住宅ローンを利用する場合は、金融機関によって在留資格ごとに条件が異なります。
- Q. 就労ビザでも住宅ローンは組めますか?
- A. 取扱う金融機関はありますが、永住者・配偶者ビザ等と比べて頭金の比率が高めに求められたり、借入年数が短くなったりする傾向があります。
- Q. 永住許可の要件が厳しくなると、これから申請する人にはどう影響しますか?
- A. 報道によれば、収入要件は今年4月以降に提出された申請から適用される方針とされています。指針は10月に正式決定される予定で、詳細は今後の公表内容を確認する必要があります。
- Q. 頭金が足りない場合はどうすればいいですか?
- A. 物件価格を抑える、頭金の準備期間を延ばす、複数の金融機関で条件を比較するなどの選択肢があります。ローン以外に現金購入という選択肢も検討に値します。
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