金利上昇局面で家は買える?住宅ローンを金利前提から見直す
2026年8月26日、財務省の2027年度予算概算要求が総額38兆6948億円(26年度当初比15.1%増)となり、うち国債費が36兆6386億円(17.1%増)で過去最高になったことが報じられました。各省庁の概算要求総額は一般会計で初めて130兆円を超える見通しで、4年続けて過去最大を更新するとされています。
住まいを検討する立場から見て示唆的なのは、金額そのものよりも前提の置き方です。国債費の算定に使う想定金利が3.8%に引き上げられました。26年度の予算編成段階では3.0%、26年度の概算要求段階では2.6%でしたから、国は自らの返済計画を、以前より高い金利を前提に組み直したことになります。
この3.8%が住宅ローンの適用金利になるわけではありません。国債の利払いを見積もるための前提であり、まったく別の数字です。ただ、金利が上がる前提で国が予算を組んでいるという事実は、これから数十年の借入を検討する人にとって、環境を読む材料にはなります。本記事では、金利前提が動く局面で住宅を購入するときに、購入前へ前倒しして確認しておきたい点を整理します。個別の判断は、金融機関や税理士など有資格の専門家への確認をおすすめします。
「国の想定金利3.8%」は住宅ローンと何の関係がある?
直接の関係はありません。国が国債の利払いを見積もるときに使う前提金利と、金融機関が個人に提示する住宅ローン金利は、決まり方も水準も別のものです。ここを混同すると、必要以上に不安になったり、逆に誤った安心をしたりします。
一方で、両者はまったく無関係でもありません。日本銀行は2026年6月16日の金融政策決定会合で政策金利を1%程度へ引き上げており、これは約31年ぶりの水準とされています。これに伴う短期プライムレートの引き上げを受けて、三菱UFJ銀行は2026年9月1日より住宅ローン変動金利の基準金利を見直すと案内しています。国の想定金利の引き上げも、この金利環境の変化を映したものと読むのが自然です。
つまり3.8%という数字を住宅ローンの予測値として扱うのではなく、「借入コストの前提が全体として上に動いている局面にいる」という状況認識として受け取るのが実務的です。そのうえで、自分の返済計画がその前提に耐えられるかを確かめる、という順序になります。
金利環境を読むための数字(いずれも報道・公表時点の目安)
- 国の27年度概算要求の想定金利
- 3.8%
- 政策金利
- 1.0%程度
- 変動金利の目安
- 1.082%
- フラット35の最頻金利
- 3.290%
26年度予算編成段階は3.0%、26年度概算要求段階は2.6%
2026年6月16日の会合で引き上げ。約31年ぶりの水準とされる
2026年8月時点の一例。金融機関・商品により異なる
2026年8月時点。実行月ごとに変動する
変動金利と固定金利、どちらを選ぶ?
変動金利型は当初の金利水準が低い代わりに、金利が上がれば返済額が増える可能性があります。全期間固定金利型は当初の金利が高めですが、完済まで返済額が変わりません。どちらが有利かは将来の金利次第なので、事前に一方が正しいと決めることはできません。
実務上の考え方は、有利さの予測ではなく、耐えられるかどうかの確認に置くほうが安全です。変動を選ぶなら、金利が上がったときに家計が持ちこたえられるかを数字で確かめる。固定を選ぶなら、その金利水準でも無理のない借入額に抑える。どちらの場合も、判断の材料は自分の家計側にあります。
変動金利型と全期間固定金利型の主な違い
| 比較項目 | 変動金利型 | 全期間固定金利型 |
|---|---|---|
| 当初の金利水準 | 低めに設定されることが多い | 変動型より高めになることが多い |
| 金利上昇時の返済額 | 増える可能性がある | 変わらない |
| 返済総額の見通し | 確定しない | 契約時点で確定する |
| 向いている場面 | 返済期間が短い、繰上返済の余力がある | 返済期間が長い、家計の変動を避けたい |
| 確認すべき点 | 返済額の見直し周期と上限の有無 | 実行月の金利が適用される点 |
借入可能額と返済可能額はどう違う?
金融機関の事前審査で示されるのは借入可能額で、これは「その金額までなら貸せる」という金融機関側の上限です。一方、返済可能額は「その金額までなら無理なく返せる」という家計側の上限で、両者は一致しません。金利が上がる局面では、この差を意識しておく意味が大きくなります。
住宅の予算を組むときは、月々のローン返済額だけで判断しないことが実務上の基本とされています。固定資産税・都市計画税、マンションであれば管理費と修繕積立金、火災保険料といった保有コストが毎年かかります。年額を12で割って月額に足し、その合計で家計が回るかを見るほうが、実態に近い予算になります。
外国籍で購入する場合、何を先に確認する?
日本では外国籍でも不動産を所有できるのが原則で、所有そのものに在留資格の制限はないとされています。実務上のハードルはむしろ融資側にあり、永住権の有無、在留資格の種類と残存期間、勤続年数、日本国内での収入、頭金の割合などが審査項目になるのが一般的です。
基準は金融機関ごとに異なり、同じ条件でも結論が変わることがあります。物件を探し始める前に複数の金融機関へ事前審査を出し、借入可能額と条件を書面で確認しておくと、契約直前に頭金の追加を求められるといった事態を避けやすくなります。
購入時に関係する主な法令
- 宅地建物取引業法 第 35 条
- 宅地建物取引業者は、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして重要事項を説明させなければならないとされています。説明書の写しは事前に受け取り、目を通しておくのが実務上望ましいとされます。
- 宅地建物取引業法 第 37 条
- 契約が成立したときは、当事者に対して契約内容を記載した書面を遅滞なく交付しなければならないとされています。代金・引渡時期・危険負担などの記載を確認する場面です。
- 住宅の品質確保の促進等に関する法律 第 94 条・第 95 条
- 新築住宅について、構造耐力上主要な部分等の瑕疵に関する売主・請負人の責任を、引渡しから10年間とする特例が定められているとされています。中古住宅では適用の考え方が異なります。
- 民法 第 566 条
- 引き渡された目的物が種類・品質に関して契約の内容に適合しない場合、買主は不適合を知った時から1年以内にその旨を通知する必要があるとされています。引渡し後の点検を先延ばしにしない理由がここにあります。
- 租税特別措置法 第 41 条
- 住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の根拠条文とされています。床面積・所得・入居時期などの適用要件は改正が重ねられているため、購入年の要件を必ず確認してください。
よくある漏れと対策
✕月々のローン返済額だけで予算を決め、固定資産税・管理費・修繕積立金を計算に入れていなかった。
→年間の保有コストを合計して12で割り、月額のローン返済額に足したうえで家計が回るかを確認する。
✕変動金利を選んだが、金利が上がったときに返済額がどう変わるかを試算していなかった。
→契約前に、金利が1%・2%上がった場合の返済額シミュレーションを金融機関に出してもらう。
✕事前審査で示された借入可能額をそのまま予算にして、教育費や転職で家計が回らなくなった。
→借入可能額ではなく、家計から逆算した返済可能額で借入額を決める。
✕在留資格や勤続年数の条件が想定と違い、契約直前に頭金の追加を求められた。
→物件探しを始める前に複数の金融機関へ事前審査を出し、条件を書面で確認しておく。
✕重要事項説明を当日その場で初めて読み、内容を理解しないまま署名した。
→説明書の写しを事前に受け取り、疑問点を書き出したうえで説明の場に臨む。
契約前チェックリスト
- 固定資産税・管理費・修繕積立金・保険料の年額を月額に換算して予算に組み込んだ
- 金利が1%・2%上昇した場合の返済額を試算してもらった
- 変動金利型を選ぶ場合、返済額の見直し周期と増加幅の上限を商品説明書で確認した
- 借入可能額ではなく、家計から見た返済可能額をもとに借入額を決めた
- 在留資格・勤続年数・頭金の条件について、複数の金融機関に事前審査を出した
- 重要事項説明書の写しを事前に受け取り、疑問点を整理した
- 住宅ローン控除の適用要件(床面積・所得・入居時期)を購入年の基準で確認した
- 登録免許税・不動産取得税・仲介手数料・ローン事務手数料など諸費用の総額を把握した
よくある質問
- Q. 国の想定金利3.8%は、そのまま住宅ローン金利になりますか?
- A. なりません。国債の利払いを見積もるための前提であり、住宅ローンの適用金利とは決まり方が異なります。ただ、金利が上がる前提で国が予算を組んでいるという事実は、環境認識の材料にはなります。
- Q. 金利が上がる局面では、買うのを待ったほうがいいですか?
- A. 一概には言えません。金利が上がれば借入コストは増えますが、価格や競合の状況も同時に動きます。待っている間の家賃負担も含めて比較するのが実務的な考え方とされています。
- Q. 変動金利で借りて、あとから固定に変えられますか?
- A. 商品によっては可能ですが、切り替える時点の固定金利が適用されるのが一般的です。切替の可否・条件・手数料は契約前に確認してください。
- Q. 外国籍でも住宅ローンは借りられますか?
- A. 借りられる場合があります。永住権の有無、在留資格、勤続年数、日本国内での収入などが審査項目になるのが一般的で、基準は金融機関ごとに異なります。複数行に事前審査を出すほうが実務上は確実です。
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