不動産投資公開日

表面利回り 8% は本当に儲かる?実質利回りで見極める収益物件

収益物件の広告で最初に目に入る利回りは、多くの場合「表面利回り」です。年間の想定家賃収入を物件価格で割った数字で、比較はしやすいものの、保有中に発生する費用が一切含まれていません。海外から複数の物件を並べて検討するとき、この数字だけを基準にすると判断を誤りやすい指標でもあります。

表面利回りと実質利回りは何が違う?

実質利回りは、年間家賃収入からランニングコストを差し引き、購入時の諸費用を加えた総投資額で割って求めます。何が計算に入るかを並べると、差の理由がはっきりします。

計算に含まれるもの

項目表面利回り実質利回り
年間家賃収入含む含む
管理委託費含まない差し引く
共用部の管理費・修繕積立金含まない差し引く
固定資産税・都市計画税含まない差し引く
損害保険料含まない差し引く
空室期間・募集費用含まない織り込む
購入時の諸費用含まない分母に加える

押さえておきたい数字

表面と実質の差
1〜2ポイント

区分マンションの一般的な目安

非居住者の賃料源泉徴収
20.42%

一定の例外あり

差はどれくらい開く?

区分マンションでは表面利回りと実質利回りで 1〜2 ポイント程度開くことが多く、築年数が古い物件や地方の高利回り物件ほど差が広がる傾向があります。表面 8% が実質 6% を切ることは珍しくありません。

非居住者が保有する場合の注意は?

非居住者が受け取る賃料は原則として源泉徴収の対象となります(借主が個人で、自己または親族の居住用に借りている場合など、一定の例外があります)。確定申告のために納税管理人を選任するのが実務上一般的です。加えて、円建てで想定どおりの利回りを確保できても、母国通貨に換算したリターンは為替で変動します。

関係する法令

所得税法 第 161 条
国内にある不動産の貸付けによる対価は、国内源泉所得に該当するものとして定められています。
所得税法 第 212 条 第 1 項
非居住者に対して国内源泉所得の支払をする者は、所得税を源泉徴収して国に納付する義務を負うとされています。
国税通則法 第 117 条
国内に住所等を有しない納税者は、納税管理人を定めて税務署長に届け出るものとされています。

e-Gov 法令検索で条文を確認する

よくある漏れと対策

  • 表面利回りだけで比較し、管理費と修繕積立金の高い物件を選んでしまった。

    候補ごとに同じ前提でランニングコストを引き、実質利回りで横並びにする。

  • 満室想定のまま収支を組み、空室期間の資金繰りが回らなくなった。

    空室率と募集費用を保守的に見込んだうえでキャッシュフローを試算する。

  • 購入時の諸費用を分母に入れず、利回りを高く見積もっていた。

    仲介手数料・登記費用・税を含めた総投資額で計算する。

  • 源泉徴収と納税管理人の手当てをせず、賃貸開始後に慌てて対応した。

    購入前に税務の取扱いを確認し、賃貸開始前に体制を整える。

購入判断チェックリスト

  • 管理費・修繕積立金の月額を確認した
  • 固定資産税・都市計画税の年額を確認した
  • 管理委託費の料率を確認した
  • 周辺の賃貸相場から想定家賃を検証した
  • 空室率と募集費用を収支に織り込んだ
  • 購入時諸費用を含めた総投資額で利回りを計算した
  • 源泉徴収の要否と納税管理人の手当てを確認した
  • 為替変動が母国通貨換算のリターンに与える影響を確認した

よくある質問

Q. 実質利回りは何%あればいい?
A. エリアや物件種別、資金調達の条件によって基準は変わります。同じ前提で複数物件を並べて比較することのほうが、単一の目標値より役に立ちます。
Q. 地方の高利回り物件はお得?
A. 表面利回りは高く出ますが、空室リスクと出口の流動性が論点になります。実質利回りと売却時の想定を合わせて検討してください。
Q. 修繕積立金は将来上がる?
A. 長期修繕計画にもとづき段階的に引き上げられることがあります。購入前に計画と積立金の残高を確認してください。
Q. 為替はどう見込めばいい?
A. 円建ての収支と、母国通貨に換算した収支を分けて試算しておくと、判断がぶれにくくなります。

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