台風が来たら賃貸は大丈夫?入居前に確認したい防災チェックポイント
8月9日午前3時現在、台風13号は宮古島の北北西約290kmの海上を進んでいます。沖縄本島では8月7日に那覇空港の全便が欠航し、旅客ターミナルが終日閉鎖されるなど大きな影響が出ました。停電は一時18,410戸に達し、8月8日23時時点でも7,710戸で復旧作業が続いています。まずは、被害に遭われた地域の皆様の安全と一日も早い復旧をお祈りいたします。
今回のような台風や、記憶に新しい熊本地方の地震のように、日本は自然災害が発生しやすい国です。海外から日本で賃貸物件を借りる方にとって、家賃や立地だけでなく「この建物・この場所は災害にどの程度備えられているか」は、契約前に確認しておきたい大切なポイントです。本記事では、入居前に確認できる防災の視点を整理します。
なぜ「賃貸の防災」を入居前に確認すべき?
賃貸物件は、購入する住宅と違って自分でリフォームや補強を行うことが難しいため、入居前の情報収集が実質的に唯一の対策になります。台風13号のように電力・交通が広範囲で止まる規模の災害では、建物そのものの強さに加えて、周辺の浸水リスクや停電時の生活動線も暮らしやすさに直結します。
建物の耐震性はどこで確認できる?
一般に、1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物は「新耐震基準」で設計されているとされ、それ以前の「旧耐震基準」の建物とは想定される耐震性能の目安が異なります。物件情報や重要事項説明で建築確認日・築年を確認すると、どちらの基準で建てられたかの参考になります。
新耐震基準だからといって個別の建物の耐震性能を保証するものではなく、実務上は耐震診断の有無や、管理会社が把握している補強履歴もあわせて確認するのが望ましいとされています。
水害・浸水リスクは契約前にどう調べる?
市区町村が公表する洪水・高潮・土砂災害のハザードマップは、物件の立地する場所の想定リスクを確認する基本的な手段です。台風や大雨による広域の停電・断水も珍しくないため、避難所までの距離や、浸水想定区域に該当するかどうかを事前に把握しておくと安心です。
2020年の宅地建物取引業法施行規則改正により、賃貸借契約の重要事項説明でも水害ハザードマップ上の物件所在地について説明することが実務上求められるようになったとされています。説明を受けた際は、口頭だけでなく書面やハザードマップの該当箇所を一緒に確認するとよいでしょう。
契約時に説明される「防災に関する重要事項」とは?
重要事項説明では、水害ハザードマップの説明に加えて、建物の構造・避難経路、消防用設備の設置状況などが確認事項に含まれることがあります。台風や地震の際にエレベーターが止まった場合の対応や、非常用の照明・備蓄の有無なども、管理会社に質問しておくと安心材料になります。
台風・地震が起きたとき、賃貸入居者は何をすればいい?
台風13号では、那覇空港の閉鎖や広範囲の停電のように、移動や生活インフラが数日単位で制約される事態が起きました。賃貸入居者としては、断水・停電時の飲料水や簡易トイレなど数日分の備蓄、管理会社・大家との緊急連絡先の確認、そして最寄りの避難所の把握が基本的な備えになります。
本記事に関わる主な数字
- 新耐震基準の始まり
- 1981年6月
- 台風13号による沖縄の停電ピーク(8/7)
- 18,410戸
- 5県の産業被害額の試算
- 約107億円
- 奄美市名瀬の48時間降水量
- 435.0mm
これ以降の建築確認物件が目安
報道による推移値
単一情報源の試算、参考値
平年8月の約1.5倍
確認しておきたい法令
- 宅地建物取引業法 第35条
- 契約前の重要事項説明を義務付ける条文で、2020年の施行規則改正以降、実務上は水害ハザードマップ上の物件所在地の説明もこの説明に含まれるとされています。
- 水防法 第15条
- 市区町村が洪水ハザードマップを作成・公表することを定めており、賃貸契約で説明されるハザードマップの根拠となる条文です。
- 建築基準法 第20条
- 建築物が満たすべき構造耐力上の基準を定めており、いわゆる「新耐震基準」は1981年6月1日以降の建築確認から適用されているとされています。
新耐震基準物件と旧耐震基準物件の比較
| 確認項目 | 新耐震基準(1981年6月1日以降) | 旧耐震基準(それ以前) |
|---|---|---|
| 想定される耐震性能の目安 | 震度6強〜7程度の地震で倒壊しにくいことを想定 | 新耐震基準ほどの耐震性能は想定されていない場合がある |
| 確認すべき資料 | 建築確認日・完了検査済証 | 耐震診断の実施状況・補強履歴 |
| 家賃・条件への影響 | 相場並みが多い | 立地・管理状態次第で相場より安いことも |
よくある漏れと対策
✕内見時は晴天で気づかなかったが、実は物件が浸水想定区域に含まれていた。
→契約前に市区町村のハザードマップを自分でも確認し、重要事項説明の内容と照らし合わせる。
✕築年数だけを見て「新しいから安心」と判断し、実際の建築確認日を確認しなかった。
→建築確認日を管理会社に確認し、1981年6月1日以降かどうかを基準の一つにする。
✕停電・断水時の備蓄をしておらず、台風接近時にコンビニやスーパーでの買い出しが間に合わなかった。
→入居直後に、水・簡易トイレ・モバイルバッテリーなど数日分の備蓄を用意しておく。
✕管理会社の緊急連絡先を知らず、災害時にエレベーター停止や漏水などのトラブルへの対応が遅れた。
→契約時に管理会社・大家の緊急連絡先を確認し、スマートフォンに登録しておく。
入居前チェックリスト
- 物件所在地が洪水・高潮・土砂災害のハザードマップでどの区分に該当するか確認した
- 建築確認日を確認し、新耐震基準・旧耐震基準のどちらに該当するか把握した
- 最寄りの指定避難所と、そこまでの経路を確認した
- 重要事項説明書に記載された水害リスクの説明内容を書面で確認した
- 管理会社・大家の緊急連絡先を控えた
- 停電・断水時に備えた水・簡易トイレ・モバイルバッテリーなどを用意した
- エレベーター停止時の階段経路や、非常用照明の有無を確認した
よくある質問
- Q. 旧耐震基準の物件でも借りて大丈夫ですか?
- A. 一律に避けるべきというわけではありませんが、耐震診断の有無や補強履歴を確認し、家賃や立地とのバランスで判断することが実務的です。
- Q. ハザードマップで浸水想定区域に入っている物件は避けるべきですか?
- A. 区域に入っているからといって必ずしも居住に適さないわけではなく、想定される浸水の深さや避難経路、上階かどうかなども含めて総合的に判断することが一般的です。
- Q. 台風や地震で電気・水道が止まった場合、家賃は変わりますか?
- A. 被害の程度や契約内容によって扱いが異なるため、個別の状況は管理会社や貸主に確認する必要があります。
- Q. 重要事項説明でハザードマップの説明がなかった場合はどうすればいいですか?
- A. 説明が必要な事項が漏れている可能性があるため、契約前に不動産会社に確認し、必要であれば市区町村のハザードマップを自分でも参照することをおすすめします。
SUMIMOTO Hub のアプリでは、AI が物件所在地のハザードマップ情報や築年・耐震基準の目安を多言語で整理して提示し、24時間対応の AI アドバイザーが契約前に確認すべきポイントを案内します。実際の耐震診断や重要事項説明の内容については、宅地建物取引士など有資格の専門家に個別に確認することをおすすめします。
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