住宅ローン控除、外国人でも使える?令和8年度改正と非居住者の注意点
令和8年度税制改正大綱では、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用期限が2025年末から2030年末まで5年延長されることが決まりました。あわせて所得税の非課税枠、いわゆる「年収の壁」も2026年は178万円まで引き上げられる見込みです。日本での住宅購入を検討している海外在住者や外国籍の方から、この控除は自分にも使えるのか、という質問をよくいただきます。
結論から言うと、住宅ローン控除は国籍を問わず利用できる制度ですが、「居住者」であるかどうかが最初の分かれ目になります。ここでは制度の基本、令和8年度改正のポイント、非居住者が特に注意すべき点を順番に整理します。
住宅ローン控除とはそもそもどんな制度?
住宅ローンを利用してマイホームを新築・取得・増改築した場合に、年末時点のローン残高の一定割合を所得税額から直接差し引ける制度です。控除しきれない分は翌年度の住民税からも一部控除されるのが一般的とされています。
税額控除であるため、所得控除よりも節税効果が大きく出やすい仕組みとされています。
外国人(居住者・非居住者)でも対象になる?
制度上、国籍そのものは要件になっていません。ポイントは所得税法上の「居住者」に該当するかどうかで、日本国内に生活の本拠(住所)があるか、1年以上居所を有するかなどで判断されるとされています。就労ビザや経営管理ビザなどで日本に生活の本拠を置いて住民票がある場合は、居住者として控除の対象になり得ます。
一方、海外に生活の本拠を置いたまま日本の不動産だけを購入する非居住者は、原則として住宅ローン控除の対象外とされています。単身赴任などで一時的に非居住者となるケースの取り扱いは個別事情によるため、税理士への確認が実務上欠かせません。
令和8年度改正で何が変わった?
今回の改正の柱は、2025年末までとされていた適用期限を2030年末まで5年延長したことです。あわせて、断熱等級6以上かつ再生可能エネルギー設備の導入を要件とする「GX志向型住宅」が、子育て世帯に限らず全世帯を対象に新設される見込みです。
令和8年度改正で押さえておきたい数字
- 適用期限の延長先
- 2030年末
- 「年収の壁」の目安
- 178万円
- 控除率の目安
- 0.7%
- 控除期間の目安(新築の場合)
- 13年
従来の2025年末から5年延長
基礎控除99万円+給与所得控除79万円
年末ローン残高に対する一般的な水準
住宅の種類・取得時期により異なる
適用を受けるための主な要件は?
床面積が一定以上であること、取得後一定期間内に居住を開始すること、合計所得金額が一定額以下であることなどが、実務上よく確認される要件とされています。中古住宅の場合は築年数や耐震性能に関する要件が別途あるとされています。
根拠となる法令
- 租税特別措置法 第41条(住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除)
- 住宅の新築・取得・増改築等に係る借入金の年末残高に応じて、所得税額から一定額を控除する制度の根拠条文とされています。
- 所得税法 第2条第1項第3号(居住者の定義)
- 国内に住所を有し、または現在まで引き続き1年以上居所を有する個人を「居住者」とする区分の根拠とされ、住宅ローン控除の適用可否を分ける出発点になります。
確定申告ではどんな書類が必要?
初年度は原則として確定申告が必要で、住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書、登記事項証明書、売買契約書の写しなどを添付するのが一般的とされています。給与所得者の場合、2年目以降は年末調整で対応できるケースもあります。
居住者・非居住者での取り扱いイメージ(一般的な整理)
| 区分 | 住宅ローン控除の適用 | 備考 |
|---|---|---|
| 日本に生活の本拠があり住民票がある居住者 | 対象になり得る | 所得要件・床面積要件などを別途満たす必要 |
| 海外に生活の本拠を置いたままの非居住者 | 原則対象外 | 個別事情により取り扱いが異なる場合がある |
| 単身赴任等で一時的に非居住者となる場合 | 個別判断 | 税理士への事前確認が実務上推奨される |
よくある漏れと対策
✕海外在住のまま物件だけ購入し、住宅ローン控除も使えると思い込んでいた。
→契約前に居住者・非居住者の区分と、いつ生活の本拠を日本に移す予定かを整理し、税理士に確認する。
✕年末残高証明書を紛失し、初年度の確定申告に間に合わなかった。
→金融機関から届く証明書は専用フォルダで保管し、確定申告期限(原則翌年3月15日)から逆算して準備を進める。
✕GX志向型住宅の要件を誤解し、断熱等級の証明書類を準備していなかった。
→契約前に住宅の性能等級が改正後のどの区分に該当するか、施工会社に書面で確認する。
✕床面積や所得要件を確認せず契約し、後から対象外と分かった。
→重要事項説明の段階で床面積・合計所得金額の見込みを税理士とすり合わせておく。
住宅ローン控除の適用可否を確認するチェックリスト
- 自分が所得税法上の居住者・非居住者のどちらに該当するか確認した
- 住民票を日本に移す予定・タイミングを整理した
- 床面積・合計所得金額など基本要件を確認した
- 新築かGX志向型住宅か、区分に応じた要件を確認した
- 年末ローン残高等証明書の入手方法を金融機関に確認した
- 初年度の確定申告に必要な書類一覧を用意した
- 税理士など専門家に非居住者期間の取り扱いを相談した
よくある質問
- Q. 外国籍でも住宅ローン控除は使えますか?
- A. 国籍は要件になっておらず、日本の所得税法上の「居住者」に該当すれば利用できるとされています。
- Q. 海外に住んだまま日本の不動産を買った場合はどうなりますか?
- A. 生活の本拠を海外に置いたままの非居住者は、原則として住宅ローン控除の対象外とされています。
- Q. 令和8年度改正で適用期限はどう変わりましたか?
- A. 2025年末までとされていた適用期限が、2030年末まで5年延長される見込みです。
- Q. GX志向型住宅とは何ですか?
- A. 断熱等級6以上かつ再生可能エネルギー設備の導入を要件とする区分で、子育て世帯に限らず全世帯が対象になる見込みとされています。
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