税金・法律公開日

地震保険料は控除できる?対象になる住まいと控除額の考え方

2026年8月23日午前2時ごろ、茨城県南部を震源とする地震があり、茨城・埼玉・千葉・東京の各都県で最大震度5弱を観測しました。負傷された方々にお見舞いを申し上げます。気象庁は、今後1週間程度は最大震度5弱程度の揺れに注意するよう呼びかけています。

こうした揺れのあとに、地震保険に入るべきだったかと考える方は少なくありません。本記事では保険商品の比較ではなく、支払った保険料が税金の面でどう扱われるか——地震保険料控除の金額の考え方、対象になる住まいの条件、そして海外在住のまま日本の不動産を持つ方や賃貸オーナーが見落としやすい適用外のケースを整理します。

地震保険は火災保険とセットでしか入れない?

地震保険は「地震保険に関する法律」に基づき、政府と民間の保険会社が共同で運営している制度です。地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする損害を補償するもので、実務上は単独では契約できず、火災保険に付帯して契約するのが一般的とされています。

保険金額は火災保険の保険金額の30〜50%の範囲内で設定するものとされ、居住用建物は5,000万円、家財は1,000万円が限度とされています。制度の枠組みが法律で定められているため、どの保険会社で契約しても補償内容や保険料の水準に大きな差は生じにくいとされています。

地震保険料控除でいくら控除される?

支払った地震保険料は、所得税・住民税それぞれで所得控除の対象になり得ます。所得税では、その年に支払った地震保険料が5万円以下ならその全額、5万円を超える場合は一律5万円が控除額の上限とされています。住民税では算式が異なり、支払保険料の2分の1相当額、最高25,000円が目安とされています。

目安として押さえる数字

所得税の地震保険料控除の上限
50,000

支払保険料が5万円以下ならその全額

住民税の地震保険料控除の上限
25,000

支払保険料の2分の1相当額が目安

地震保険の保険金額を設定する範囲
30〜50%

火災保険の保険金額に対して

居住用建物の保険金額の限度
5,000万円

家財は1,000万円が限度とされる

これは税額そのものを差し引く税額控除ではなく、課税所得を減らす所得控除です。したがって戻ってくる金額は適用される税率によって変わり、上限額がそのまま還付額になるわけではない点に注意が必要です。

賃貸に出している物件の保険料も控除できる?

控除の対象になるのは、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族が所有する家屋のうち、常時その居住の用に供しているもの、および家具・什器・衣服など生活に通常必要な生活用動産を保険の目的とする契約とされています。

つまり、オーナー自身が住んでいない賃貸用のアパートやマンション、常時居住していない別荘、空き家について契約した地震保険の保険料は、一般に地震保険料控除の対象外とされています。店舗や事務所を併設した住宅では、居住用に使っている部分に対応する範囲のみが対象となり、居住用部分が全体のおおむね90%以上を占める場合は全額を対象にできるとされています。

平成18年までに契約した損害保険はどう扱われる?

地震保険料控除は平成19年分から始まった制度で、それ以前の損害保険料控除については経過措置が置かれています。平成18年12月31日までに締結した契約で、満期返戻金等があり保険期間が10年以上、かつ平成19年1月1日以後に契約の変更をしていないものは、旧長期損害保険料として次の算式で計算した金額を控除できるとされています。

旧長期損害保険料の控除額(所得税)

年間の支払保険料控除額
1万円以下支払金額の全額
1万円超 2万円以下支払金額 × 1/2 + 5,000円
2万円超一律 15,000円

旧長期損害保険料の控除額は、住民税では最高10,000円とされています。地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合、合計の限度額は所得税で50,000円、住民税で25,000円とされ、ひとつの契約で両方の保険料を支払っているときは、選択によりいずれか一方についてのみ控除を受けることになります。

手続きは年末調整と確定申告のどちらで行う?

給与所得者の場合は、勤務先に提出する保険料控除申告書に記入して年末調整で適用を受けるのが一般的です。年末調整で適用を受けなかった場合や、給与以外に不動産所得などがあり確定申告をする場合は、確定申告で控除を受けることになります。

いずれの場合も、保険会社から送られてくる地震保険料控除証明書の添付または提示が求められます。証明書は毎年秋ごろに郵送されることが多く、再発行には時間がかかるため、届いた時点で保管場所を決めておくと安全です。

根拠となる主な法令

所得税法 第77条
居住用家屋や生活用動産を保険の目的とする地震保険契約等の保険料について、一定額を所得金額から控除できるとされています。控除額は支払保険料の全額とし、5万円を超える場合は5万円が上限とされています。
所得税法 第165条
非居住者の総合課税に係る課税標準等の計算に関する規定です。非居住者について適用される所得控除は、雑損控除・寄附金控除・基礎控除に限られるとされています。
地方税法 第34条第1項第5号の2・第314条の2第1項第5号の2
個人住民税(道府県民税・市町村民税)における地震保険料控除の規定です。控除額は所得税とは別の算式で計算され、上限は25,000円とされています。
地震保険に関する法律(昭和41年法律第73号)
地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする損害を補償する地震保険について、政府が再保険を引き受ける仕組み等を定めています。

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よくある漏れと対策

  • 火災保険に入っているから地震の損害も補償されると思い込み、地震保険を付帯していなかった。

    証券を取り出し、地震保険が付帯されているか、保険金額が建物・家財それぞれいくらで設定されているかを確認する。

  • 賃貸に出している投資用マンションの地震保険料を、居住用と同じつもりで控除の対象に含めて申告した。

    自分が常時居住している物件かどうかで切り分ける。賃貸用物件の保険料は不動産所得の必要経費になり得るため、控除ではなく経費として整理できないか税理士に確認する。

  • 海外赴任で非居住者になった年に、例年どおり地震保険料控除を適用して申告してしまった。

    その年の居住者・非居住者の区分を先に確定させ、居住者であった期間に支払った保険料に限って整理する。

  • 地震保険料控除証明書を紛失し、年末調整の期限に間に合わなかった。

    証明書が届いたら保険証券と同じ場所に保管する。間に合わなかった場合でも確定申告で適用を受けられる余地がある。

申告前チェックリスト

  • 契約中の火災保険に地震保険が付帯されているか証券で確認した
  • 保険の対象が自分または生計を一にする親族が常時居住する家屋・家財であることを確認した
  • 賃貸用・別荘・空き家に対する契約が混ざっていないか切り分けた
  • その年の自分が所得税法上の居住者に該当するか確認した
  • 地震保険料控除証明書を受け取り、支払保険料の額を確認した
  • 平成18年以前に締結した長期損害保険契約があるか確認した
  • 年末調整と確定申告のどちらで適用を受けるか決めた

よくある質問

Q. 地震保険だけに加入することはできますか。
A. 実務上は単独での契約はできず、火災保険に付帯して契約するのが一般的とされています。すでに火災保険を契約している場合、途中から地震保険を付帯できることもあります。
Q. 外国籍でも地震保険料控除は使えますか。
A. 国籍そのものは要件になっていません。判断の分かれ目は所得税法上の居住者に該当するかどうかで、日本に生活の本拠を置いている場合は対象になり得るとされています。
Q. 上限の5万円がそのまま戻ってくるのですか。
A. いいえ。地震保険料控除は課税所得を減らす所得控除であり、税額から直接差し引く税額控除ではありません。実際の軽減額は適用される税率によって変わります。
Q. 夫婦で物件を共有している場合、両方が控除を受けられますか。
A. 一般に、保険料を実際に負担した人が控除を受けるものとされています。契約者や保険料の支払方法によって扱いが変わるため、個別の事情は税理士に確認することをおすすめします。

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