税金・法律公開日

食料品の消費税、来春から1%に下がるって本当?軽減税率の仕組みと引き下げ案を整理する

2026年9月は、食品・飲料の値上げが月間で今年最多となる見通しです。帝国データバンクの調査によれば、対象は4,531品目にのぼり、単月で4千品目を超えるのは2023年10月以来のことです。一方で、高市首相は2026年7月30日、食料品にかかる消費税率を2027年4月から2年間、現行の8%から1%へ引き下げる方針を自民党の臨時役員会で示しました。値上げのニュースと減税のニュースが、同じ食卓の上で交差している状況です。

この記事では、なぜ食料品の消費税がすでに軽減税率の対象になっているのか、今回の引き下げ案が具体的にどのような制度設計なのか、そして暮らしや資産計画にどう関わってくるのかを整理します。ただし、引き下げ案は本稿執筆時点でまだ法律として成立しておらず、今後の国会審議で内容が変わる可能性がある点にご留意ください。

9月の値上げは何が起きているのか?

帝国データバンクの調査では、2026年9月の飲食料品値上げは現時点で4,531品目です。単月で4千品目を超えるのは2023年10月(4,758品目)以来で、2026年の1年間では最多のペースとなっています。8月はすでに2,311品目の値上げが確定しており、前年同月(1,262品目)から約8割増という水準でした。10月も現時点で2,720品目の値上げが判明しており、値上げの動きは秋にかけて続く見通しです。

値上げの要因としては、原材料高が90.9%と突出して多く、次いで包装・資材コストの上昇が64.0%、中東情勢の影響が27.8%となっています(複数回答)。対象品目は調味料(マヨネーズ・ドレッシング・しょうゆ・つゆ・酢)、冷凍食品、乳製品(バター・チーズ・ヨーグルト)、菓子、飲料など、日常的に購入するものが中心です。2026年通年(1〜11月の判明分)の累計は1万8,347品目で、前年(2万609品目)を上回る可能性も指摘されています。

食料品はなぜすでに軽減税率の対象なのか?

日本の消費税は、2019年10月の税率引き上げ時に軽減税率制度が導入され、原則10%の標準税率と、8%の軽減税率の二本立てになっています。軽減税率の対象は、酒類・外食を除く飲食料品と、週2回以上発行される新聞(定期購読契約分)です。スーパーやコンビニで購入する食品・飲料の多くは、すでにこの8%の軽減税率が適用されている状態です。

一方で、同じ食品でもレストランでの外食やコンビニのイートインコーナーでの飲食は、原則として標準税率10%の対象になります。テイクアウトか店内飲食かで税率が変わるため、購入時に「持ち帰りますか、店内でお召し上がりですか」と聞かれるのは、この軽減税率制度に対応するためです。今回話題になっている「1%への引き下げ」は、この8%の軽減税率をさらに下げる案ということになります。

食料品の消費税を1%に下げる案とは?

高市首相は2026年7月30日、食料品にかかる消費税率を2027年4月から2年間、現行の8%から1%へ引き下げる方針を自民党の臨時役員会で表明しました。1%分についても、所得に連動した給付措置で補うことで、対象世帯にとっては実質的に負担をゼロに近づけるという設計が示されています。政府は2026年8月上旬にこの方針を閣議決定し、9月に税制改正大綱をまとめたうえで、秋の臨時国会に関連法案を提出する見通しとされています。

つまり、本稿執筆時点では、この引き下げはまだ法律として成立していない「方針」の段階です。税制改正大綱の内容や国会審議を経て、対象品目の細部や給付の仕組みが具体化・修正される可能性があります。2年間の時限措置とされている点、標準税率10%は変わらない点、外食は対象外である可能性が高い点にも注意が必要です。

暮らしや資産計画にどう影響するか?

実現すれば、スーパーでの食品・飲料の購入価格は、消費税分だけ実質的に下がることになります。ただし2年間の時限措置であるため、期限後にどうなるかは現時点で未定です。9月の値上げラッシュ(4,531品目)と、来春以降の減税(実現すれば)は時期がずれるため、当面の家計にはまず値上げの影響が先に来るという点は押さえておく必要があります。

不動産や資産計画の観点では、消費税は建物価格には課税されますが、土地の売買には原則として課税されません。今回話題になっている軽減税率の引き下げは食料品向けの制度であり、住宅の取得や賃貸契約に直接影響するものではありませんが、家計全体の可処分所得が変われば、住宅ローンの返済計画や購入予算の見直しにもつながり得ます。制度の詳細が固まった段階で、家計全体への影響を改めて確認することをおすすめします。

今回のニュースを数字で見る

2026年9月の値上げ品目数
4,531品目

単月で2023年10月以来最多

食料品消費税の引き下げ案
8→1%

2027年4月から2年間・未成立

引き下げ案の適用期間
2年間

時限措置とされる

2026年通年の値上げ累計(判明分)
1万8,347品目

1〜11月・前年は2万609品目

関連する法令・制度

消費税法 第29条
消費税の税率を定めています。現行の標準税率は10%です。
消費税法 別表第一の二
8%の軽減税率が適用される飲食料品等の範囲を定めています。今回報道されている「8%→1%」への引き下げは、これとは別に、今後の税制改正法案として国会に提出される見通しであり、本稿執筆時点でこの引き下げ自体を定めた条文は存在しません。

e-Gov 法令検索

現行の消費税率と引き下げ案(報道ベース)

区分現行引き下げ案(未成立)
標準税率(外食・酒類等)10%今回の引き下げ案の対象外(報道内で明示なし)
軽減税率(酒類・外食を除く飲食料品)8%1%(2027年4月から2年間の時限措置とされる)
適用期間2027年4月〜2029年3月頃(2年間)とされる
法的な状態(2026年8月時点)現行法として施行済み閣議決定済み・法案は秋の臨時国会に提出予定(未成立)

よくある漏れと対策

  • 「消費税が1%になる」というニュースだけを見て、もう決まったことだと思い込んでしまった。

    2026年8月時点では自民党の方針・閣議決定の段階であり、法案はまだ国会で成立していないことを確認する。

  • 外食やコンビニのイートインでの飲食も同じように安くなると思っていた。

    軽減税率(今回の引き下げ案を含む)の対象は原則として持ち帰りの飲食料品であり、外食は標準税率のままである可能性が高い点を踏まえておく。

  • 2年間の時限措置であることを見落とし、恒久的な減税だと考えて長期の家計計画を立ててしまった。

    2027年4月から2年間という期限が報道されている点を踏まえ、期限後の見直しも想定した家計計画にする。

  • 9月の値上げ(4,531品目)と消費税の引き下げ(来春以降)の時期のずれを意識せず、当面の家計への影響を過小評価した。

    値上げは9月から、減税は実現しても2027年4月からと時期が異なる点を踏まえ、当面は値上げの影響を先に織り込んで家計を見直す。

確認しておきたいこと

  • 2026年9月に値上げされる品目のうち、自分がよく購入するものを確認した
  • 食料品の消費税が現在8%の軽減税率の対象であることを理解した
  • 外食・イートインは標準税率10%の対象になりうる点を確認した
  • 「8%→1%」への引き下げが2026年8月時点でまだ法律として成立していないことを確認した
  • 引き下げが実現した場合の適用期間(2027年4月から2年間とされる)を確認した
  • 税制改正大綱や国会審議など、今後の公式発表をどこで確認するか把握した
  • 値上げと減税、それぞれが家計に与える影響の時期のずれを踏まえて家計を見直した

よくある質問

Q. 食料品の消費税は本当に1%になりますか?
A. 2026年8月時点では、高市首相が2027年4月から2年間、食料品の消費税を8%から1%に引き下げる方針を示し、政府として閣議決定した段階です。9月に税制改正大綱がまとまり、秋の臨時国会に法案が提出される見通しですが、本稿執筆時点で法律としては成立していません。
Q. 外食やコンビニのイートインも安くなりますか?
A. 軽減税率は原則として持ち帰りの飲食料品が対象で、外食やイートインは標準税率10%の対象となるのが基本的な枠組みです。今回の引き下げ案も食料品向けとされており、外食まで対象になるかは報道内で明示されていません。
Q. 2年間しか続かないのはなぜですか?
A. 報道では2027年4月から2年間の時限措置とされていますが、期限後の扱いについては現時点で明らかにされていません。今後の税制改正大綱や国会審議で詳細が固まる見通しです。
Q. 9月の値上げと消費税引き下げ、どちらが先に家計に影響しますか?
A. 9月の値上げ(4,531品目)はすでに進行中であるのに対し、消費税の引き下げは実現しても2027年4月からとなる見通しです。時期にずれがあるため、当面は値上げの影響が先に家計に及ぶことになります。

SUMIMOTO Hub のアプリでは、24時間対応のAIアドバイザーが日本の税制や生活コストに関する疑問を多言語で解説します。消費税の引き下げ案のように制度がまだ流動的な話題については、税制改正大綱や国会審議の進捗を継続的に確認しつつ、最終的な判断は税理士など有資格の専門家にも相談することをおすすめします。

日本の税制や暮らしのコストについて相談したい方へ

サービス資料をお送りします。

資料を請求する

無料・1分で完了

コラム一覧へ