変動か固定か?銀行の対応が割れる今、住宅ローンの選び方
2026年9月、住宅ローンの金利は一枚岩ではなくなりました。三菱UFJ銀行・三井住友銀行など一部のメガバンクは変動金利を引き上げた一方、みずほ銀行・りそな銀行は先月の水準を据え置いています。フラット35や10年固定金利は複数の金融機関でそろって上昇しました。「上がった」というニュースだけを見ると身構えてしまいますが、実際には銀行ごとに判断が分かれているのが今の実情です。
これから住宅を購入する人にとって重要なのは、目先の0.1%の差より、「自分は変動と固定のどちらに向いているか」を自分の家計で判断できるようにしておくことです。本記事では、両者の仕組みの違いから、フラット35を選ぶ場合の注意点、契約後に変更する方法まで、購入前に整理しておきたい論点をまとめます。個別の金利や審査条件は、契約を検討する金融機関に直接ご確認ください。
変動金利と固定金利、仕組みの違いは?
変動金利は、市場の金利動向に応じて定期的に見直される金利です。多くの商品で半年ごとに金利そのものが見直される一方、月々の返済額は1年に1回、あるいはそれ以上の周期でしか変わらない設計になっていることがあります。当初の金利は固定金利より低めに設定されるのが一般的ですが、返済期間中に金利が上がれば、利息の負担も増えていきます。
固定金利は、契約時点の金利が一定期間(あるいは完済まで)変わらないタイプです。代表例が「フラット35」で、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携し、返済期間の最初から最後まで金利が変わらない仕組みを提供しています。返済額が確定するため家計の見通しは立てやすくなりますが、当初の金利は変動型より高めに設定される傾向があります。
「銀行によって対応が割れている」は何を意味する?
2026年9月の動きが示しているのは、金利の方向性そのものが一つに定まっていないということです。メガバンクが変動金利を引き上げた背景には日本銀行の政策金利の動きがあるとされますが、みずほ銀行・りそな銀行は同じ環境の中でも据え置きを選びました。同じ市場環境でも、銀行ごとに調達コストや競争戦略が異なるため、対応が分かれること自体は珍しくありません。
この状況から読み取れる実務上のポイントは一つです。「どこか1行の金利が上がった/据え置かれた」というニュースだけで自分の借入先を決めるのではなく、実際に借りようとする複数の金融機関から見積もりを取り、横並びで比較する必要があるということです。
2026年9月の金利動向を読むための数字(いずれも報道・各社発表ベースの目安)
- メガバンク各行の変動型・最優遇金利
- 1.195〜1.525%
- フラット35・9月の最低金利(返済21〜35年)
- 3.460%
- 10年固定金利の9月引き上げ幅
- 0.04〜0.16%
- 変動型の「返済額見直し」周期の一例
- 5年目安
2026年9月時点。実際の適用金利は優遇幅で個人ごとに異なる
住宅金融支援機構、現行制度で最高水準
金融機関により差がある
商品による。無い商品もある
自分が変動と固定のどちらに向いているか、何で判断する?
一律の正解はありませんが、判断材料として使いやすいのは次の3点です。第一に、返済期間中に金利が上がっても家計が耐えられるか(返済負担率に余裕があるか)。第二に、返済期間の長さ——残りの期間が長いほど、金利変動の影響を受ける時間も長くなります。第三に、確定した返済額で計画を立てたいか、当初の返済額の低さを優先したいかという、家計の性格そのものです。
在留資格に基づいて日本で住宅を購入する場合、審査では在留資格の種類や在留期間、勤続年数などが独自の条件として設けられていることが一般的です。これは金利タイプの選択とは別の話ですが、審査条件が金融機関ごとに異なる点は変動・固定どちらを選ぶ場合も共通して確認しておく価値があります。
フラット35を選ぶ場合、知っておきたいことは?
フラット35は返済額が確定する安心感がある一方、注意点もあります。金利は借入時点の水準で固定されるため、契約するタイミングの金利水準がそのまま返済総額に直結します。また、融資率(物件価格に対する借入額の割合)が9割を超えると金利が上がる設計になっている点も、資金計画を立てるうえで押さえておきたいポイントです。
省エネ性能など一定の技術基準を満たす住宅では、当初の一定期間、金利が引き下げられる制度が用意されている場合があります。適用条件は物件や時期によって変わるため、検討している物件が対象になるかどうかは、取扱金融機関または住宅金融支援機構に確認するのが確実です。
契約後に変動から固定へ変更することはできる?
多くの場合、変動金利で契約したあとに固定金利へ「変更」する制度は用意されておらず、実務上は別の金融機関・別の商品への「借り換え」という形を取ります。借り換えには事務手数料や登記費用などの諸費用がかかるため、当初の金利差だけでなく、諸費用を含めた総返済額で比較することが欠かせません。
目安としては、残りの返済期間が長く、借入残高が大きいほど、借り換えの効果が数字に表れやすいとされています。「金利が上がりそうだから」という理由だけで急いで判断せず、複数の金融機関からシミュレーションを取り、現在の借入を続けた場合と比較したうえで決めることをおすすめします。
変動・10年固定・フラット35の向き不向き(目安)
| タイプ | 向いている場面 | 注意したい点 |
|---|---|---|
| 変動金利 | 当初の返済額を抑えたい、返済期間が比較的短い | 金利上昇時の返済額シミュレーションを事前に確認 |
| 10年固定 | 当面の返済額を確定させつつ、長期の金利動向も見たい | 10年経過後は変動・固定を選び直す必要がある |
| フラット35(全期間固定) | 返済額を完済まで確定させ、長期の見通しを立てたい | 契約時点の金利水準がそのまま総返済額に直結する |
関連する主な法令
- 銀行法 第12条の2、銀行法施行規則 第13条の3
- 銀行は契約締結前交付書面等により、金利の見直し方法や返済額の変更ルールを顧客に説明する義務を負うとされています。変動・固定いずれを選ぶ場合も、契約前にこの書面で条件を確認するのが実務的です。
- 宅地建物取引業法 第35条
- 宅地建物取引業者は、契約成立前に重要事項説明を行う義務を負うとされています。住宅ローン特約の有無や条件も、物件の重要事項説明とあわせて確認しておきたい項目です。
- 民法 第589条
- 利息付き消費貸借では、借主は借入日以降の利息を支払う義務を負うとされています。金利タイプにかかわらず、この条文の枠組みのもとで利息が発生します。
よくある漏れと対策
✕「変動金利が上がった」というニュースだけを見て、確認せずに固定金利に決めてしまった。
→複数の金融機関から変動・固定それぞれの見積もりを取り、総返済額で比較してから決める。
✕フラット35の融資率9割超えで金利が上がる仕組みを知らず、資金計画がずれた。
→自己資金と借入額の比率を事前に確認し、融資率による金利差を資金計画に織り込む。
✕事前審査の通過を「借入確定」と思い込み、本審査で条件が変わって資金計画が崩れた。
→売買契約に住宅ローン特約が入っているかを確認し、本審査の結果が出るまで大きな出費を控える。
✕変動金利を選んだあと、金利が上昇した場合の返済額を一度もシミュレーションしていなかった。
→契約前に、金利が1〜2%上がった場合の返済額を金融機関のシミュレーターで確認しておく。
住宅ローンのタイプを決める前に確認したいこと
- 複数の金融機関から変動・固定それぞれの見積もりを取った
- 金利が1〜2%上昇した場合の返済額をシミュレーションした
- 返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)に余裕があるか確認した
- フラット35を検討する場合、融資率9割超えで金利が上がる条件を確認した
- 売買契約に住宅ローン特約が入っているかを確認した
- 在留資格の種類・在留期間・勤続年数など、金融機関ごとの独自条件を確認した
- 借り換えを視野に入れる場合、諸費用を含めた総返済額で比較する準備をした
よくある質問
- Q. 結局、変動と固定のどちらが得ですか?
- A. 一概には言えません。返済期間の長さ、金利上昇への耐性、確定した返済額を重視するかどうかによって向き不向きが変わります。複数の金融機関から見積もりを取って比較することをおすすめします。
- Q. フラット35は誰でも同じ金利で借りられますか?
- A. いいえ。融資率(物件価格に対する借入額の割合)が9割を超えると金利が上がる仕組みがあり、取扱金融機関によっても金利や手数料に差があります。
- Q. 変動金利を選んだあとで固定金利に変更できますか?
- A. 多くの場合、同じ契約内での「変更」ではなく、別の金融機関・商品への「借り換え」という形になります。諸費用がかかるため、総返済額で比較したうえで判断してください。
- Q. 外国籍でも住宅ローンの審査条件は同じですか?
- A. 在留資格の種類や在留期間、勤続年数などが独自の条件として設けられていることが一般的です。条件は金融機関により異なるため、検討段階で直接確認することをおすすめします。
SUMIMOTO Hub のアプリでは、AI査定で物件の資金計画を試算できるほか、24時間対応のAIアドバイザーが変動・固定の仕組みやフラット35の条件を多言語で解説します。最終的な金利タイプの選択や審査条件の確認は、契約を検討する金融機関にご確認ください。
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