賃貸・住まい公開日

台風で雨漏りしたら修理費は誰が払う?賃貸の「修繕義務」と使える保険

2026年9月8日、伊豆諸島の大島町・利島村では避難を呼びかける「緊急安全確保」が朝までに解除されましたが、新島村(1,335世帯・2,431人が対象)では最も高い警戒レベルが続いています。同じ日の未明には、気象庁が東海地方(三重・静岡・愛知・岐阜)に線状降水帯発生の半日前予測を発表しました。台風や秋雨前線による大雨が続くこの時期、賃貸に住んでいる人が気になるのは「もし部屋が雨漏りしたり浸水したりしたら、修理費は誰が払うのか」という点です。

結論から言うと、災害による損傷であっても、まず確認すべきは「大家の修繕義務」の範囲です。ただし、家財の被害や一時的な家賃の扱いなど、修繕義務だけではカバーしきれない部分もあります。本記事では、民法上の考え方と、実務で使われる保険の仕組みを整理します。個別の状況は物件の契約書・保険約款によって異なるため、最終的には管理会社・保険会社に確認してください。

台風・大雨で部屋が壊れたら、まず何をする?

雨漏りや浸水に気づいたら、まず被害状況を写真や動画で記録し、できるだけ早く管理会社・大家に連絡することが基本とされています。連絡が遅れると、被害拡大の原因が「連絡の遅れ」にあるとみなされ、負担割合の話し合いで不利になる可能性があります。二次被害(漏電・カビなど)を防ぐための応急処置は自分で行ってよいとされていますが、大掛かりな修理を自己判断で発注する前には、必ず大家・管理会社の了承を得ることが実務上のポイントです。

応急処置にかかった実費については、後から大家に請求できる場合があります。レシートや作業内容の記録を残しておくと、話し合いがスムーズになります。

大家の「修繕義務」とは何を指す?

賃貸借契約では、大家(賃貸人)は物件を使用収益できる状態に保つ「修繕義務」を負うとされています。台風で窓が破損した、雨漏りで天井が傷んだといった、建物本体や設備の不具合は、一般に大家の修繕義務の範囲に含まれると考えられています。一方で、入居者の家財(家具・家電・衣類など)の損害は、修繕義務とは別の話として扱われます。

ただし、賃借人(入居者)の側にも「賃貸人が修繕を行う際にはこれを妨げてはならない」「損傷を知った場合は遅滞なく賃貸人に通知しなければならない」といった義務があるとされています。連絡を怠って被害が拡大した場合、その拡大分については入居者側の負担が問われる可能性があります。

直るまで家賃は待ってもらえる?減額されることはある?

2020年施行の改正民法では、賃借物の一部が滅失その他の事由により使用収益できなくなった場合、それが賃借人の責めに帰さない事由によるものであれば、使用収益できなくなった割合に応じて賃料は「当然に」減額されるとされています。以前の規定では賃借人からの「請求」が前提でしたが、現在は請求しなくても当然に減額されるという考え方に整理されています。

とはいえ、実際の減額幅や適用のタイミングは、被害の程度や契約内容によって個別に判断される部分が大きいのが実情です。「一部が使えない状態がどのくらい続いたか」「生活にどの程度支障が出たか」を記録しておくと、管理会社との話し合いの材料になります。

賃貸の修繕・減額を考えるときの基準(民法の考え方の目安)

賃貸人の修繕義務の根拠
606

民法。使用収益に必要な修繕を行う義務

賃料の当然減額の根拠
611

民法。2020年改正で「請求」ではなく「当然に」減額される整理に

賃借人の通知義務の根拠
615

民法。損傷を知ったら遅滞なく通知

被害連絡のタイミングの目安
遅滞なく

具体的な日数の法定基準はない

自分の家財が濡れた・壊れた場合はどうする?

建物本体の修繕は大家の義務であっても、入居者個人の家具・家電・衣類などの損害は原則として対象外です。ここで役立つのが、賃貸契約時に加入することが一般的な「家財保険(借家人賠償責任保険とセットになっていることが多い)」です。台風・大雨による水災を補償の対象に含めるかどうかは、保険商品やプランによって異なるため、契約時の証券・約款で水災補償の有無と免責金額(自己負担額)を確認しておく必要があります。

浸水など水災による損害は、保険商品によっては補償の対象外、または一定の自己負担が設けられている場合があります。「加入しているから安心」ではなく、どのリスクがどこまでカバーされているかを契約時に確認しておくことが実務上のポイントです。

経年劣化・入居者の過失・災害被害はどう区別される?

退去時の敷金精算では、経年劣化(時間の経過による自然な傷み)と入居者の過失による損傷は区別して扱われるのが一般的です。台風・大雨による損傷は、入居者の管理不足が原因でない限り、経年劣化や過失による損耗とは別の「不可抗力による損傷」として扱われ、修繕費用が入居者に請求されにくいと考えられています。ただし、窓を開けたまま外出していたなど、入居者側の管理に問題があったと判断される場合は、話し合いの結果が変わることもあります。

損傷の原因ごとの負担者(一般的な整理の目安)

損傷の原因建物本体の修繕入居者の家財
経年劣化(自然な傷み)大家が負担するのが一般的対象外(家財保険の範囲外)
入居者の過失(管理不足など)入居者負担となる場合がある家財保険の適用は保険会社の判断による
台風・大雨などの災害(不可抗力)大家が負担するのが一般的家財保険(水災補償)でカバーされる場合がある

関連する主な法令

民法 第606条
賃貸人は、賃借物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負うとされています。
民法 第611条
賃借物の一部が滅失その他の事由により使用収益できなくなった場合、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料はその使用収益できなくなった部分の割合に応じて当然に減額されるとされています(2020年改正)。
民法 第615条
賃借人は、賃借物が修繕を要し、または賃借物について権利を主張する者がある場合、賃貸人がすでに知っているときを除き、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならないとされています。

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よくある漏れと対策

  • 雨漏りに気づいたが連絡を後回しにし、被害が拡大してから管理会社に連絡した。

    被害に気づいた時点で写真・動画を残し、遅滞なく管理会社・大家に連絡する。

  • 自己判断で業者に本格修理を依頼し、費用を大家に請求できなかった。

    応急処置以外の本格的な修理は、必ず事前に大家・管理会社の了承を得てから発注する。

  • 家財保険に入っていたが、水災が補償対象外のプランだったことを被害後に知った。

    契約時の証券・約款で水災補償の有無と自己負担額を確認し、必要なら特約の追加を検討する。

  • 一部が使えない状態が続いていたのに、家賃減額について何も申し出なかった。

    使用できない期間・範囲を記録し、管理会社に賃料の扱いについて相談する。

台風・大雨で被害が出たときの確認事項

  • 被害状況を写真・動画で記録した
  • 気づいた時点で遅滞なく管理会社・大家に連絡した
  • 本格的な修理を発注する前に大家・管理会社の了承を得た
  • 応急処置にかかった実費のレシートを保管した
  • 加入している家財保険の水災補償の有無・自己負担額を確認した
  • 一部が使えない状態が続く場合、賃料の扱いについて相談した

よくある質問

Q. 台風で窓が割れて雨が吹き込みました。修理費は誰が払いますか?
A. 建物本体の不具合は、一般に大家の修繕義務の範囲に含まれると考えられています。ただし発生状況によって判断が分かれることもあるため、早めに管理会社へ連絡し、状況を共有することをおすすめします。
Q. 浸水で家具や家電が壊れました。大家に弁償してもらえますか?
A. 入居者個人の家財の損害は、原則として大家の修繕義務の対象外とされています。加入している家財保険で水災が補償されるかどうかを確認してください。
Q. 修理が終わるまでの家賃は払わなければいけませんか?
A. 使用収益できない状態が入居者の責めに帰さない事由による場合、その割合に応じて賃料が当然に減額されるという考え方が民法に整理されています。具体的な扱いは管理会社に相談してください。
Q. 応急処置でかかったお金は誰が負担しますか?
A. 必要な応急処置にかかった実費は、後から大家に請求できる場合があります。レシートや作業内容の記録を残しておくと話し合いがスムーズです。

SUMIMOTO Hub のアプリでは、24時間対応のAIアドバイザーが、被害に気づいたときにまず何を記録し、誰に連絡すべきかを多言語で案内します。実際の負担割合や保険の適用可否は、契約書・保険約款の内容によって異なるため、最終的には管理会社・保険会社、必要に応じて専門家にご確認ください。

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