不動産を買うとき資金の出どころを聞かれるのはなぜ?本人確認と送金記録の備え方
執筆:SUMIMOTO 株式会社編集方針
共同通信は10月18日、国土交通省が宅建業者向けの「疑わしい取引」チェックリストを見直す案をまとめたと報じました。海外法人に不審な点があるケースや、暗号資産の取引が追加される見通しだといいます。
この記事では、購入時に業者が本人確認や資金の出どころを尋ねる理由と、買主が慌てないために準備しておきたい書類・記録を整理します。個別の判断は取引ごとに異なるため、数値や運用は目安として読んでください。
なぜ買主に本人確認と資金の出どころを聞く?
宅建業者は、犯罪収益移転防止法(犯収法)上の「特定事業者」として、取引の相手方の本人確認や取引記録の作成が求められるのが一般的です。不動産は高額で資産を移しやすいため、資金洗浄に使われないよう確認を重ねる仕組みになっています。
報道によれば、現行のチェックリストは「はい/いいえ」で答える形式で、現金での多額の購入や、購入後の短期間での転売、真の契約者を隠す疑いなどが例に挙がっています。質問されること自体は通常の手続きであり、外国籍だから疑われるという意味ではありません。
押さえておきたい数字(報道・制度上の目安)
- 現行リストの確認例
- 21項目
- リストの大分類
- 5分類
- 確認記録の保存期間の目安
- 7年
国交省の現行チェックリストに掲載されていると報じられた件数
現金の使い方・契約者の隠匿・取引の特異性など
犯収法上の定め。実際の運用は業者・専門家に要確認
どんな取引が「疑わしい」と見られやすい?
次の表は、チェックリストの考え方を買主目線で整理したものです。1つ当てはまるだけで直ちに問題になるわけではなく、合理的な説明と資料があれば足りる場合が多いとされます。
見られやすい観点と買主側の備え
| 観点 | 例 | 事前に準備できること |
|---|---|---|
| 資金の使い方 | 多額の現金での購入、第三者名義での支払い | 自己名義の口座からの送金計画、預金残高の資料 |
| 契約者の実態 | 真の購入者が分からない、法人の実態が不明 | 本人確認書類、法人の登記事項証明書・実質的支配者の資料 |
| 取引の特異性 | 事業と無関係な高級物件の購入、購入後すぐの転売予定 | 購入目的(居住・投資)と保有計画の説明メモ |
| 海外資金・暗号資産 | 海外法人や暗号資産が関わる支払い | 送金元の口座情報、資金の由来を示す売却契約書や取引履歴 |
外国籍・海外送金の買主は何を準備する?
海外から送金する場合は、送金元の口座名義、金額、日付を後から追える形で残しておくのが実務上のポイントです。収入や資産売却による資金であれば、その裏付け(給与明細、売買契約書、取引明細など)を日本語または英語の訳文付きで用意しておくと、確認が円滑に進みやすくなります。
押さえておきたい条文(要確認)
- 犯罪による収益の移転防止に関する法律 第 4 条
- 特定事業者が取引時に本人特定事項などを確認する義務を定めているとされます。
- 同法 第 6 条
- 確認を行った記録を作成し、一定期間保存する義務に関する規定とされます。
- 同法 第 8 条
- 疑わしい取引があると判断した場合の届出義務に関する規定とされます。
準備で失敗しないためには?
よくある漏れと対策
✕手付金を家族名義の口座から振り込み、資金の出どころの説明に時間がかかった。
→原則として購入者本人名義の口座から支払い、例外は事前に業者へ相談する。
✕海外の預金証明が外国語のままで、確認に使えなかった。
→訳文を付け、発行日が古くなりすぎない書類を用意する。
✕購入目的を聞かれて答えが曖昧になり、確認が長引いた。
→居住か投資か、保有期間の想定を短いメモにまとめておく。
購入前の確認リスト
- 本人確認書類(在留カード・パスポートなど)を用意した
- 支払いに使う口座が自己名義であることを確認した
- 資金の由来を示す資料(給与明細・売却契約書など)を揃えた
- 海外発行書類の訳文を準備した
- 購入目的と保有計画を説明できるようにした
- 送金の日付・金額・口座情報を記録した
よくある質問
- Q. 外国籍だと確認が厳しくなる?
- A. 国籍だけで一律に厳しくなるわけではなく、取引の内容や資金の流れに応じて確認されるのが一般的です。ただし海外送金や海外法人が絡むと、追加の資料を求められることはあります。
- Q. チェックリストに当てはまるとどうなる?
- A. 1項目当てはまるだけで直ちに取引が止まるとは限りませんが、判断に迷う場合は業者が当局へ届け出る仕組みです。届出の有無は買主に知らされないのが通常です。
- Q. 現金で購入するのは問題?
- A. 現金払い自体が違法というわけではありません。ただし多額の場合は資金の由来の説明を求められやすいため、資料を用意しておくと安心です。
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参考資料・出典
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